3/19まで。
ふと思いついたように、相方が「最近おはぎは毛ヅヤが無くなった?」と言った。
そういえばうちに来たときの写メと、同じ構図の最近の写メは確かに毛の艶や毛並みが違う気がする。
ああ、そう思えばうちに来たときよりさらに大人しくなったかもしれない。
毎日見てるのに気にしていなかったのは何故だ?なぜこの時に病院へ連れて行ってみてやらなかったんだと思うのは、今になってからでもう遅い。
これをご覧の方、飼育経験が豊富な方はすでに私に苛立ちを覚えているでしょう。
そして初めての方、どうかこれに気付いた時点で、行ける範囲内に自分が飼育しているハムスターを診れる病院がないか探して尋ねて下さい。
3/20
おそらくは十数年前であろう過去に飼育経験がある相方によると、元々うちに来たときからそんなに活発に動く方ではなかったそうだが、この所おはぎは特に人が起きている時間はほとんど動かない。
うちに来て1ヶ月。ここ最近は人の手にも慣れて、自分からエサくれと寄って上って来る程度になったのに。
朝のエサの時間以外はマトモに動く姿もなく、私がうつらうつらする深夜2時過ぎ辺りから、回し車を回してる音はするのだが、何故だろう。
そういえば昨日辺りから、エサを残してるなと思いながら、相変わらずカリカリは好きじゃないのかと、回し車の音を聞きながら就寝。
恐らくはこの時点で、フンにも柔らかめなどの、なんらか変化があったのかもしれません。おしっこの後すら見つけられない私に、フンの変化を気付くことは出来ませんでした。ただ、最近フンがちょっと小さい?なんで最近いつもの砂場でおしっこしないんだろう?どこでしてるんだろう?と思う程度でした。
初めての方、フンとおしっこは毎日探して確認してやって下さい。私の様に、手遅れになる前に気付けることが必ずあります。
3/21
起きてエサ箱を見ると、やはりカリカリだけ数粒残している。
あぁまたかと思いながら、残っていたカリカリを捨てて、カリカリ3gミックスフードのひまわり種抜き2gを新しく入れなおして仕事へ。
帰ってくるとやはり寝ている。相変わらず毛づくろいは神経質にしているが、どちらにしろ丸まっているのでどうしたもんかと思ってみる。
夜、相方にバナナチップを貰ったようで、延々とガリガリ食べていた。また深夜2時過ぎにカラカラという音を聞きながら、就寝。
おはぎは、キャンベルハムスターという種類で標準体重は多くて33g程度だそうです。この時点でおはぎは49gありました。
私はおはぎがジャンガリアンじゃない事すら、この時知りました。
今回の直腸脱は、掃除の不完全や飼育によるストレスと肥満に原因が大きい可能性が高いそうです。
ハムスターのHPは今数多くあり、私もそれを見ながら手探りで飼育を始めました。こんなどうしようもなく無知な私が、それでもなんとか用具を調え、おはぎと居られたのはHPがあったからです。
ご自分にとって分りやすいHPを見つけてください。そして、病気や体調管理の事をしっかりと読んでください。
太っちょだねぇwダイエットする?wなんて言っていた無神経すぎた私は、可愛い娘を失いました。
3/22
朝10:00過ぎ。
エサをやる為に近付いたケージの中で、寝そべってほふく前進の様に動くおはぎと、おがくずについた赤い液体を見つける。
驚いて指を前足にかけそっと立ち上がらせてみると、股間の方から小指の爪大の赤い内臓らしき物体。
慌てて背中から上半身にそっと手を回して少し立ち上がらせ、素早く下からティッシュを持った手を後ろ足に差し込み持ち上げると、やはり内臓らしき物体が出ている。
ネットで調べてみると子宮脱・脱腸・直腸脱のどれかの様な感じで、どれも致死性が高く非常に危険で、すぐに病院にとの事…。
ネットでそのまま市内の動物病院を調べ(ハムスター 病院 広島市内でGoogle検索)、片っ端から電話。
ジャンガリアンハムスターを見てくれる病院を探して1軒見つかるものの、すでに時間が12時。医師が訪問検診から帰ってき次第連絡すると言われ、電話番号を伝えて待つ。
16時前、医師が帰って来たと言われ、そのままその病院へ。しかし、出ている部分が壊死しかけている為、消毒・肛門から腸の差し戻し以外処置が出来ないといわれ、出来る処置だけしてもらって帰宅。その後もしもと思い母親に言われた動物病院へ電話して、ジャンガリアンハムスター可能か確認してみるも、すでに17時過ぎで1軒目に言われた「覚悟して看取ってやってください」との言葉に躊躇して来院せず。
20時過ぎ、脱腸したまま回し車を回そうとし、ケージの壁に手をつき必死にエサをねだる姿を見て、「生きようとしている」と、翌日開院と同時に連れて行こうと決心。
この時、おはぎの顔がちゃんと写った写真がない事に気付き、不謹慎ながらねだるおはぎを上から撮影。
これが、最初で最後となったおはぎの顔が写った写真になりました。
本当に本当にカメラ越しに見ても可愛くて、この記事を書く為に貼ったこの画像もしばらく眺め続けていました。
見つめれば見つめるほど失った事の自責が絶えません。
3/23
朝9:30に予約が出来、2つ目の病院へ来院。
言われたのは以下の事。
●まだ、出ている部分が赤いから壊死してない。治る可能性はある。
●見る限りでは体力的にはなんとかもちそうではある。
●手術方法は2種類。①飛び出た部分を一部だけ残して切除した後、肛門と結合する方法。②腹部切開し、内部から飛び出た部分を体内に引き上げ、腹膜の一部と腸の一部を結合。
●②の方が存命確率は高いものの、壊死がない・食い千切っていない等の状態条件がある。どちらかで手術するしか方法はないが、どちらで出来るか分からない。
●もし手術が成功しても、その子本人の体力によっては体がもたないor100%助かるとは断然出来ない。
上記の覚悟ができるのであれば、出来る限りの事は全部します。と言われ、前日違う病院にて言われたこと・すでに覚悟している事を告げ、入院手続きして預ける。
14時前にこれから手術との連絡、17時過ぎに手術は成功との連絡を貰う。
壊死等の状態は思ったより悪くなく、腹部切開にて施術可能だった事、ただし本人はかなり参っているので、後は体力が持つかどうかとの事。
3/24
午前6時過ぎから数回に渡って着信履歴があり、7時30過ぎにやっと気付いて電話を取ると、まだ寝ている頭に響いたのは消沈し小さくなった先生の声でした。
「ごめんなさい。おはぎちゃん、頑張ってくれていたんだけどだめでした。ごめんなさい」
何度も何度も申し訳ない、ごめんなさいと謝ってくれる先生の声が遠くに聞こえながらも、状況を教えてもらう。
ご飯を食べて、水も飲んで、もそもそと鈍いながらも動き回っていたそうです。
でも。
病院が終わり、先生が再び病院に入った今朝6時位の時。すでに息は無かったようです。
涙が堪えられず、台所で少し泣きました。心を落ち着け、顔を誤魔化し、迎えに行った10時過ぎ。
少し待った待合室の後、先生に呼ばれ入った診療室にはおはぎの姿は無く、詳細を説明してもらいました。
ご飯を食べたこと、水を飲んだこと、動き回っていた事、広島イチと言われる先生すら、診て「これなら大丈夫だろう」と思うほどに。
生きようと、生き延びようと、栄養を取って、落ち着こうと場所を探し、命を手放すまいとしていたそうです。
車の前まで連れてきてもらったおはぎは、白い綺麗な紙箱の中に、白い綿をたくさん入れてもらって眠っていました。
手足を伸ばしても丸まっても硬直していない、口をあけたり歯を食いしばっている訳でもない、目を見開いても力いっぱい顔をしかめてもいない、本当に眠ったような姿でしたが、確かに鼓動は無くうっすらに僅か開いた瞼の奥も、光はありませんでした。
おはぎ、永眠。
【処置内容・かかった費用】
1軒目
処置内容:腸についた砂やおがくずを取り除き、消毒。その後、出た腸を棒で押し戻す作業4回。
薬内容:ステロイド・抗生物質
合計費用:治療費・初診費・薬代合計9,975円
2軒目
処置:入院手続き後、腹部切開による脱腸部分の引き上げと腹膜結合手術。
合計費用:入院費:初診費・施術費他合計5,000円
2軒目の費用の金額に一瞬フリーズしましたが、病院の人が「元気で帰してあげられなかったから」と何度も何度も謝りながら言ってくれました。
でも、もし生きて帰って来たとしても、かなり良心的な費用の予定でした。
ちなみに1軒目で貰った薬は2軒目に連れて行く朝にやる予定でしたが、病院へいくから念のためと飲まさずに持参しましたが、うちはステロイドは使わないからと持ち帰るよう言われました。
診断が終わって預ける時、自分を殴りたいほど、心から思いました。
「何で私は初日にココに連れてこなかった」
初めてのハムスター飼育の中、私のあまりの知識の無さで気付いてやれなかった変化は多かったでしょう。
私の甘い目、甘い考えが彼女の死を早めてしまったでしょう。
それでも私が迎えに行き、「またね」とお別れするまで体の柔らかい感触そのままに、眠ったような静かな顔のままにいてくれたおはぎ。
おはぎを見た母に「仏顔で死後硬直もしてなくて、こうやって絶えない様にお線香上げてもらって、おはぎの魂は幸せなんだよ」と言われ、退院後一人になってからやっと声をあげて泣けました。
ぱっと横から見れば腹部の傷も気付かないほどの、腹部を見て「ああ、おはぎは確かに全力をかけてもらっていた」と涙が出るほどの技術で力を貸してくれた先生は、病院での死後の処理もしてくれていたのでしょう。
そのためでしょうか。
おはぎの身体は、迎えに行ってから亡骸を埋める21:00過ぎまで死後硬直することは無く、置物の様に軽くなる事も無く、柔らかい生前のまま、ただ鼓動と呼吸が無い、冷たいだけで眠っている様なままでした。
今、おはぎはひまわりの種と一緒に眠っています。
私が使っている場所、人もあまり来ない田舎の草木の多い山のそば、車が通る様な事もないビワの木の下は、きっと初めてのお外を見るおはぎにも安全で、静かで、腹を減らすことも無く、回し車なんかよりずっとずっと走り回れる事でしょう。
小さい小さいおはぎ。10cm程度の小さい身体で必死に生を取り戻そうと頑張ってくれたあの子は、きっとより強く幸せに生まれ変わることでしょう。
1ヶ月程度しか一緒にいなかったのにこんなに泣いてくれるお母さんがいるんだから、おはぎはうちに来て幸せだった。
相方の言葉が、救いであり同時に自分の無力さ・無知さへの後悔です。
もし、広島市内に同じような思いで病院を探している方がいたら、メールフォームでメールを下さい。
公にココにはかけませんが、私が利用させて頂いたところをお教えします。
また、もし運よく複数軒の病院があったなら、セカンドオピニオンを絶対にお勧めします。
もし私があのまま1軒目の所だけで終わっていたら、腸をはみ出したままのおはぎは何も食べれず、お腹が空いたよと必死に私に訴えながら弱って死んでいたでしょう。
2軒目の病院に行くと決めた時。
お金が無くて迷っていた私に「迷ってやらずに後悔するなら、迷って結局やって後悔する方が良い」と母親に土下座してお金を借りる覚悟をくれたのは、おはぎの「お腹空いたよ。私まだ生きてるよ。まだ生きて食べて動こうとしてるんだよ」と訴える様に動く姿でした。
おはぎは命を持って、私にもう1匹の綿菓子の為の病院と、私がすべき飼育の勉強、私が見直すべき生き物を飼う覚悟を教えてくれました。
おはぎ、ご飯美味しかったかい?
お腹空いたままじゃなかったって聞けて、嬉しかったよ。
いっぱいいっぱい悔しさも自責もあるけど、お前がお腹いっぱいになれた事、キレイなお腹と寝顔で帰って来たことで、お母さんは自分以外の誰も何も責めずに居られるよ。
もう痛くないからね、大丈夫だからね。
「絶対に絶対に無駄にしないからね。お母さん頑張るからね。」
私がおはぎに約束した言葉です。
2011/3/24記録、3/25記事掲載
おはぎへ。
お母さんより。
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